サルコペニア予防のための自己栄養管理
サルコペニア予防のための自己栄養管理
「栄養」とは、生物体が体外から必要な物質を取り入れ、成長や活動に役立たせること。
紀の川市高齢介護課は、「正しい栄養管理」を市民の皆さんに広く周知しています。
70歳を超えたら攻めの栄養管理!
実は、栄養の不足している方が多い
日本人の食事摂取基準(2015年版)には、70歳以上の方の※BMIの標準値は、21.5kg/平方メートル~24.9kg/平方メートルと示されています。
てくてくのデータから
地域で展開中のご当地体操「紀の川歩(てくてく)体操」では、その拠点ごとに体力測定を実施しています。その際、体成分の分析も行い、70歳以上の方1,150名(男性:192名・女性:958名)のBMIおよび※SMIを調査してみました。
BMIが21.5未満の方
男性47名、女性358名という結果でした。男性で4人に1人が、女性では3人に1人以上が細身もしくはもう少し体重増を目指さなければならないとの結果でした。ちなみに、BMIが21.5kg/平方メートル未満の方のSMIの平均値は、男性:6.47kg/平方メートル、女性:5.41kg/平方メートルでした。つまりは、サルコペニア(筋肉減少症)に近い状態であるということです。
ちなみに、BMIが21.5kg/平方メートル~24.9kg/平方メートルの方のSMIの平均値は、男性:7.19kg/平方メートル、女性:5.86kg/平方メートルでした。適正な体重維持がサルコペニアを予防することは、てくてくの結果からも見えてくるところです。
用語解説
※BMI(Body mass index):ボディマス指数。身長と体重のバランスを表した数値。いわゆる肥満度を表しています。一般的な標準値は「22kg/平方メートル」です。
※SMI(Skeletal muscle mass index):四肢骨格筋量指数。身長と筋肉のバランスを表した数値。いわゆる手足の筋肉量の度合いを表しています。男性:7.0kg/平方メートル以上、女性:5.7kg/平方メートル以上が標準値です。この数値以下の場合サルコペニアが疑われます。
日本人の食事摂取基準(2015年版)
※概要版 7ページにBMI関連情報あり
てくてくデータ
平成27年9月~令和元年6月までの測定1回目の方のデータ
70歳を超えたら攻めの栄養管理
「ダイエット」や「メタボ予防」の普及で、特に女性の方からは「太りたくない」や「ダイエット中」など、体重減少に拍車をかける声が地域でよく聞かれます。また、実際の数値を見ても男性に比べて女性のほうがBMI値が低く出ています。実はこれ、筋肉量の観点からすると非常に危険なことかもしれません。
東京都健康長寿医療センター研究所の平成29年11月の発表では、メタボリックシンドロームと自立喪失発生率(健康寿命)との関連性が見受けられなかったとあります。一方同発表の中で、フレイルおよびプレフレイルは、2.4倍その危険性が上がるとのことでした。つまりは、メタボよりフレイルのほうが健康寿命を脅かす要因で、フレイルの原因となるサルコペニア(筋肉減少症)を予防していかないと、健康寿命延伸にはつながらないということです。
さらに、サルコペニアの要因のひとつとして、「低栄養」や「栄養失調」などの栄養不足が大きく関わります。70歳を契機に栄養バランスはもちろんのこと、「量」についてもしっかりと考えた食事を心がけることが大切です。
まずは、食品多様性スコアで栄養バランスをチェック!
ご自身の食事内容を評価してみましょう。最近1週間、下記の食品群のうちほぼ毎日食べるものに「1点」、そうでない場合は「0点」とし、合計点を出します。
- 肉類
- 魚介類
- 卵
- 大豆・大豆製品
- 牛乳
- 緑黄色野菜
- 海藻類
- いも類
- 果物
- 油を使った料理
サルコペニア予防の観点からは、合計点が7点以上であれば、たんぱく質やミネラルを多く含む「栄養素密度の高い食事」、つまり低栄養が予防できる食事をしていると考えられます。
まず、ご自身の毎日の食事を振り返ってみましょう。
サルコペニアの予防にはたんぱく質が必須!
食品多様性スコアの点数はいかがでしたか?先ほどから多く出てくる「筋肉」という言葉。そもそも、筋肉や骨、臓器、皮膚など人の体を構成する成分の多くが「たんぱく質」からできています。たんぱく質は、食事摂取することでしか体内に取り込むことができません。食品多様性スコアを見ても、食品群の1~5が比較的たんぱく質を多く含む食品で占めています。たんぱく質不足は、筋肉の減少や肌トラブル、体力や免疫力の低下を招きます。
食事バランスを考え、「たんぱく質」を適正に摂取することが大切です。たんぱく質不足はサルコペニアを引き起こします。
「てくてく」の結果や地域の声から
「てくてく」の体力測定結果からも、たんぱく質不足の人が多いことがわかっています。地域の方からも「年をとったら粗食のほうがいいと思っていた」「自分では食べているつもりだった」という言葉がよく聞かれます。そういった思い込みや、全体の食事量の低下や味覚の低下、噛むことや飲み込む力といったお口の機能の低下によって、知らず知らずのうちにたんぱく質不足になってしまいます。
サルコペニアやフレイルを予防するためには、1日あたり体重1kgにつき1.0~1.2gのたんぱく質の摂取が必要です。ご自身が思っている以上に食べなければなりません。(栄養指導や特別配慮すべき病気がないことを前提として)例えば、お肉だけでたんぱく質を確保しようと思えば、1回の食事で100g前後食べる必要があります。また、脂肪分の少ない部位のお肉は、より多くのたんぱく質を含みます。ぜひ、お肉のある食生活を心がけてください。
たんぱく質の含有量の目安
下記の各食べ物の100g中のたんぱく質含有量をご参考に、ご自身のお食事にたんぱく質をプラスしてみてください。
参考)70歳以上の人で、一日に必要なたんぱく質の量は、男性60グラム、女性50グラム以上といわれています。
動物性たんぱく質
- 豚ヒレ(赤肉生肉)約22g
- 豚ロース(脂身つき生)約19g
- 豚バラ(脂身つき生)約13g
- 鶏ささみ(生)約24g
- 鶏むね(皮つき生)約21g
- 鶏もも(皮つき生)約16g
- 牛肩ロース(脂身つき生)約16g
- 牛バラ(脂身つき生)約11g
- 卵(ゆで・生 2個分)約12g
- さば・あじ(生)約20g
植物性たんぱく質
- 大豆(乾)約33g
- 木綿豆腐 約7g
- 納豆 約16.5g
まとめ ~5大栄養素をバランス良く、よく食べる~
年齢を重ねると活動量は減少傾向にあることからエネルギー消費は少なくてすみます。食事量はというと、特に女性は「痩せていたほうがよい」と考える方も多く、こちらも減少傾向にあります。しかし、筋肉量や骨のことを考えると、これらの減少は、筋肉量の減少や骨の劣化などの進行を助長します。たんぱく質やミネラルなど20~40代の方と同等の摂取量が必要なものもあります。
「たんぱく質」「脂質」「糖質」「ビタミン」「ミネラル」は5大栄養素と呼ばれ、年齢問わずしっかりと摂取しなければならない栄養素です。「たんぱく質」は体を作り、「脂質・糖質」はエネルギー源、「ミネラル・ビタミン」は体の調整役です。特に70歳を超えたあたりからは気を付けなければならないのは、「低栄養」です。バランスと量を考えしっかり食べることが重要です。
1日3食しっかり食べるためには、日中は外出することや運動をすること、誰かと一緒に楽しく食事することなど、栄養以外の要素も重要です。高齢期ならではの栄養知識をお持ちいただき、自身の食生活の課題に気づき、少しの心がけが健康長寿につながります。
高齢介護課の主な業務内容
- (1)高齢者福祉班
- 敬老事業、老人福祉、老人福祉施設入所措置、災害時要援護等に関すること。
- (2)介護保険班
- 介護保険サービス、介護保険料、介護認定等に関すること。
- (3)愛の手
- 在宅介護支援、総合相談等に関すること。
- (4)総合事業班
- 介護予防事業、認知症施策等に関すること。
このページに関するお問合せ先
紀の川市 福祉部 高齢介護課 TEL 0736-77-2511
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