口腔機能向上
「健康」は「健口」から
普段ごく自然に行っている「食べる」「呼吸する」「言葉を話す」「表情をつくる」などは、すべてお口の周辺でしています。当たり前に行えているはずのお口の機能ですが、年齢を重ねることでどうしても低下してしまいます。お口の手入れを怠ってしまうことや、やわらかい物を食べる機会の増加など、日常生活の中にその原因の多くが存在しています。
ただでさえ忙しい日常。『気づかぬうちに』虚弱化してしまいます。
現代の食文化は、しっかり噛み砕かなくても飲み込める食べ物も多く、食べやすいなどの「~しやすい」という生活が続いていきます。つまり、使うことが少なくなり、使いこなされなくなると、機能は衰えます。
噛む力の衰えやお口の衛生状態が悪くなることで起こる悪循環
知らず知らずのうちに、このような悪循環に陥っていませんか?
『噛む力が低下 → 噛めない → やわらかい物を好むようになる → さらに噛む力が低下 → さらに噛めない → さらにやわらかい物を好むようになる…』
このような悪循環がもたらす身体への影響は、
「食欲低下」「低栄養」「身体機能の虚弱(衰弱)化」などなど、
この先には、寝たきりや認知症となる可能性も増加が増すことは、容易に想像できるのではないでしょうか?
日常生活や旅行など、さまざまなシーンで楽しみの中心となる「食」。お口の機能低下が原因で、思うような生活ができないということは、本当につらいものです。いつまでもご自身のお口でバランスのよい食事をするために、お口の手入れや噛む力、飲み込む力を衰えさせないように、日常生活に口腔ケアを取り入れましょう。
自分のお口の状態を知る
皆さんのお口はどのようになっているでしょうか?
「歯は何本?」「抜けたままになっている歯は?」「口の渇きは?」「滑舌はどう?」「入れ歯の使用は?」などなど
食事をすると言っても、さまざまな器官が同時機能することによって行えています。下記のようなチェックを行っていただき、まずはご自身のお口の状態を再確認することが大切です。
また、お口の清掃をおこない清潔に保つということは、むし歯や歯周病、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)、インフルエンザ、口臭などの予防につながります。(誤嚥性肺炎:食物を飲み込んだ際、食道から誤って気管に入り、口腔内の細菌等が原因で肺炎を起こすこと)
いつも洗面台の鏡越しに見ているお口を、よく見ていただくためにも一度手鏡でご覧になってみてください。ご覧になるときは、下記に注意して見てみましょう。人それぞれお口の状態が違いますので、その人に合わせた口腔ケアをマスターしましょう。
「お口」を知るチェックリスト
- 食べこぼしがある(唇の力や頬の筋力低下はないですか?)
- むせる(よく噛んでいますか?、舌の力は衰えていませんか?、歯が抜けたままになっていませんか?)
- うがいができない (頬や唇、舌の力は衰えていませんか?)
- 口臭がある(舌の汚れはないですか?、歯周病ではないですか?入れ歯のお手入れをしていますか?)
- お口が渇く(だ液の減少はないですか?、お薬の副作用はないですか?)
- 転びやすい(口腔機能が原因で、身体や栄養状態が悪化していませんか?)
- 微熱が続く(お口の衛生状態はいかがですか?)
- 歯周病や虫歯になっている歯をそのまま放置している
- 入れ歯が合わなくなっている
- 歯磨きができない、またはしない
- 歯が抜けている所をそのままにしている
- 噛む筋肉(咀嚼能力)が衰えている
- 舌や頬の機能が衰えている
- 話をする機会がない、人と関わらない
- 笑わない
- 表情がない
お口に関係するチェックリストです。一度チェックしてみてください。該当がない方も元気な機能を維持するために口腔ケアを生活の中に取り入れましょう。
「お口の衰え(オーラルフレイル)」を知るチェックリスト
「はい」か「いいえ」でお答えいただき、()内の点数を合計してください。
- 半年前に比べて、かたいものが食べにくくなった「はい(2点)・いいえ(0点)」
- お茶や汁物でむせることがある 「はい(2点)・いいえ(0点)」
- 義歯を使用している 「はい(2点)・いいえ(0点)」
- 口の渇きが気になる「はい(1点)・いいえ(0点)」
- 半年前と比べて、外出の頻度が少なくなった「はい(1点)・いいえ(0点)」
- さきいか・たくあんくらいの硬さの食べ物が噛める「はい(0点)・いいえ(1点)」
- 1日2回以上は歯を磨く「はい(0点)・いいえ(1点)」
- 1年に1回以上は歯科医院を受診している「はい(0点)・いいえ(1点)」
0~2点:オーラルフレイルの危険性が低い
3点:オーラルフレイルの危険性あり
4点以上:オーラルフレイルの危険性が高い
オーラルフレイルの疑いのある方は、すぐに生活改善を!!
噛む力の効果
「食事はよく噛んで」ということなんてもうご存知の方も多いと思いますが、改めて噛むことの効果をご確認ください。日常的に当たり前のように行っている「噛む」という行為、噛めば噛むほど下記のような効果があります。歯みがきや口腔体操でお口の機能を維持することがとても大切です。
- 胃腸の働きを促進する(胃腸の働きを助ける)
- むし歯、歯周病口臭を予防する
- 肥満防止
- 脳の働きを活発にする
噛む力を衰えさせないこと、それが健康長寿への近道です。
だ液の働き
なぜ、高齢になると口の中がよく乾くのでしょうか?
原因としては『だ液』の減少があげられます。
- 老化によるだ液腺の萎縮
- 噛む力の低下
- 薬剤の影響 など、原因はさまざま…
だ液は作られていますが、分泌する力が衰えてくるというイメージです。
だ液はとても良い働きをします!!
- 口の中の水分を保ち、乾燥を防ぐ。
- 消化液としてはたらく。
- 発音をスムーズにします。
- 口の中をきれいにします。
- 口の中の細菌の繁殖を防ぐ。
- 入れ歯を維持する。 などなど
だ液が減ってくると…
- 口の乾きが気になる
- 食べ物が飲み込みにくい
- しゃべりにくい
- 口臭が気になる
- 入れ歯が気になる
- 歯周病持ちになってしまう などの、症状が出てくる可能性があります。
お口は、何かにつけ身体の入り口で、環境悪化が全身に影響することは前述しました。もしかすると、だ液がないと人間長生きができないのかもしれません。よく噛むことや衛生面がだ液の分泌力にも影響します。
※気になる方は、だ液腺マッサージや水分補給をこまめに行うなど、お口の乾きに気をつけましょう。
歯垢・歯石について
歯垢とは
歯垢は、食べかすや歯の病気と思われがちですが、実は細菌(ばい菌)のかたまりです。歯垢が口の中に残っていると、口の中の細菌が大繁殖し、知らないうちに体の中に取り込んでしまい、歯周病、肺炎、インフルエンザなどに感染しやすくなります。
歯石とは
歯垢等にだ液中のカルシウムが沈着して、石のように硬く固まったものを歯石といいます。歯石の表面はざらざらしているため、汚れが積もりやすく、歯石の上に付いた汚れを落とせないでいると、歯石はどんどん大きくなってしまいます。一旦、歯石ができると、ブラシで落とすことは難しくなり、歯科医院で除去してもらう必要があります。また、歯石は古くなるとより硬くなって除去しにくくなり、それが歯肉を刺激して炎症を起こすため、歯周病を悪化させる原因にもなります。こうならないためにも、歯垢を残さないよう歯をみがくことと、定期的な受診がとても大切です。
歯周病は全身に影響します
歯周病を改善することは、次の病気に関係があります。
- 糖尿病
- 動脈硬化などの血管系の病気
- 心臓の病気
- 肺炎などの呼吸器疾患
- 早期低体重児出産 など
最後までご覧いただきありがとうございました。
お口の機能維持のためのおすすめ口腔体操
日々の歯みがきの後に、30秒ぶくぶくうがい
即実行!!口腔ケア!
健康は健口から